rogi52.hatenablog.jp
上の記事が興味深かったのでまとめる。
主張
分配束をなす集合を始域とする写像の終域上に、可換律と結合律が成り立ち逆元をもつ演算が定義されているとする。逆演算をとし、総和をで表す。また、記号的にとする。
上の任意の元に対して等式が成り立つとき、上の元について以下の包除原理が成り立つ。
公理およびにおいては対称的であるため、左辺を、右辺をにした公式も得られる。
※に対して逆元をもつことを仮定したが、式をと解釈すれば、逆元をもたない演算についても考えることができる。その場合、得られる包除原理は右辺のの項を移項したものになる。
証明
の場合はより自明。
の場合に成立すると仮定する。
したがって、の場合にも成立することが示せた。
よって、以上の任意の自然数で成立することが示せた。
例
集合の和集合と共通部分
をある集合の冪集合とし、演算をそれぞれとする。また、、を自然数の加算とする。
が成立するから、上の元について以下の包除原理が成り立つ。
確率の和事象と積事象
を標本空間とし、演算をそれぞれとする。また、を事象が起こる確率(以降)、を実数の加算とする。
が成立するから、上の元について以下の包除原理が成り立つ。
実数のmaxとmin
をとし、演算をそれぞれとする。また、、を実数の加算とする。
が成立するから、上の元について以下の包除原理が成り立つ。
正整数のlcmとgcd
をとし、演算をそれぞれとする。また、、を正整数の乗算とする。
厳密には乗算は逆元を必ずもつわけではないので、逆元をもたない場合の考え方でまず立式し、割れることを証明していく形になるはずである。
が成立するから、上の元について以下の包除原理が成り立つ。
束群 (lattice ordered group)
束でも群でもある集合を束群 (lattice ordered group)というようである。
ただし、集合の和集合と共通部分や確率の和事象と積事象についてはとで台が異なり、同じ集合上の演算として正当化するのは怪しいように思える。
また、正整数のlcmとgcdについては整数の乗算は群ではないため、束群として考えることはできない。
したがって、この包除原理は束群のみに適用できる公式というわけではないといえる。